笑いと青春のソーダみたいな「サマーフィルムにのって」

本記事は「サマーフィルムにのって」のネタバレはしないよう頑張っています。


あらすじ

勝新を敬愛する高校3年生のハダシ。 キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。 そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。 すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、 「打倒ラブコメ!」を掲げ文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。 青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、 彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。

勝新太郎ヲタ女子の主人公
・時代劇を自主撮影
・主演はタイムトラベラー
・ライバルの撮影するラブコメも並行進行
・文化祭を乗っ取るぜ!

お前はスシンジュクのデコ盛りメニューか???
※参考画像

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tabelog.com


と、要素の多段盛りに思いながらも、なんだかCMにワクワクしたから観にいこーって公開初日の金曜日に行ってきました。
平日の昼すぎ&コロナ禍なのに新宿武蔵野館は3,4割のお客さん。
「乃木坂効果か?よー知らんけど。」と一人合点。
先月シャイニーシュリンプスを新宿武蔵野館で見た時は1割くらいの入りだった。



感想…
最高だった… とうとい… たっとい…
まーじで今年見た映画で一位ですよ…

青春映画ってイチャコラ・ディスコミュニケーションLOVEをしながら、仲間内で喧嘩してやっぱ仲良しだよねって確認作業を延々90分くらいやるじゃない。
しないのよ、そんなこと。
ぬるーい空気感でポッと火が付いたり急に湿気ったり。
ラブやらフレンドシップにフォーカスしないで、普通の高校生はなかなかしない映画撮影を進めていくんだけど、変にドラマドラマしてないからすんなり受け入れられる。
同じ温度感だから、撮影しているメンバーの一人になったみたいに感じながら観ていた。

メインストーリーは映画撮影しながら、タイムパラドックスをザクザク片付けて(ここも笑った)、時代劇要素を青春で介錯解釈してすべてを包んでまとめてる。
なんとは言わんが結末を同時に〆た瞬間に温かい涙が出た。
感情も伏線も、ただただすべてが嚙み合って、すごい気持ち良かった。

時かけパロも多々あるんだけど、その回答が「未来で待ってる」じゃないのも痺れた。
創作者向けのメッセージを感じたけど、みんな生きてたら何かしら未来に残してて、そこに希望を見出しているのが嬉しくなった。

キャラクターはみんな立っていて、それぞれが真面目にズレたこと言うのがいちいち面白くてずっと笑ってたし、演技も良かった。
元アイドルって色眼鏡かけてたけど主人公の伊藤万理華すごいね。
渋い顔、困った顔、曖昧に笑う顔、本当に楽しいことをしている笑顔、ぜーんぶの表情が絶妙に微妙だから自然に見えて、舞台俳優出身の大仰な表現とは違った魅力があった。
賭ケグルイ映画(1作目)のいまいち目立たないゲストキャラやってたとは思えない。

サブ1のメガネっ子 河合優実も、コミュ障天文オタクのキャラも存分に発揮してたけど、終盤に見せる淡い恋心な表情が「女の子やなー」って感じれて良かったなー。
サブ2の剣道部女子 祷キララはちょっとキャラ薄いかなーって思ってたら後半にブチ込んできやがって(笑)、マジメにやるほどギャグになっていくのが本当に良かった。
「はい、笑うところですよー!」みたいなのには疲れているから、ギャップ笑いは自然に入ってきて良い。
コメディーなのに観客がわかりやすい感情を振り切った見せ方をしなかったのが、また作品に深みを出していると思う。


音楽も良かった!けど、お話が面白過ぎて意識を払う暇がなかったわ。
エンドロールでYOSHIKA/GRAND FUNKのクレジットがあって驚いた。



上映館増えて欲しいしみんなに見て欲しいなー、アイドルムービーだと思わないで欲しいなー、と思いながら場末に書きなぐる。
最低あと1回は見に行きたい。



伊藤万理華の他の主演も見てみよう。